ゴビ沙漠のいま  平成27年度 ゴビ沙漠視察団


視察団



●期 間 2015年10月12日 〜 15日
●視察地 ダラトキ、オルドス
●参加者 6名
石田 通野 石井 啓子 西村  享
山岸  徹 島村  郁 斎藤  緑(添乗員)

 

(視察1日目)

荒れ地だった植樹地に、大木の並木林

過去の地道な活動と、現地管理人の日々の努力が実ったダラトキの地

 2015年10月、NPO法人モアグリーンゴビ税理士の森基金の理事5名で、中華人民共和国内モンゴル自治区へ植樹したポプラや油脂松の確認のため視察旅行に行ってきました。
 始めに2007年第10次植樹団から3回植樹したダラトキのトルーマさん(現地の管理人)宅東方の植樹地を視察しました。近くに競馬場やラクダの観光施設ができて植樹に適さないとの判断で終了となった植樹地です。植樹地まで歩いて行く途中は砂がさらさらしていて、まだまだ砂漠地だと感じる状態でした。所々に植樹したポプラが列状に並んでいますが、細く弱々しく、風で砂が飛ばされて根元がむき出しになっている木もありました。砂漠の中に時折見える足跡は観光ラクダが往来した跡とのことでした。
 トルーマさん宅に戻って、羊肉とジャガイモを塩味で煮込んだ懐かしい味の昼食をご馳走になった後、裏手の植樹地へ向かいました。第2次植樹団から植樹を開始した地です。トルーマさん宅を出るとすぐ一面のトウモロコシ畑が広がり、植樹地までの途中に平山副理事長が「木陰で休憩ができた」と喜ばれたというポプラ並木が、見上げる程成長して鬱蒼とした大木になっていました。
 植樹地のポプラは、しっかりと大きく成長していました。葉が一部黄色く色づいて秋色となり、地面は枯れ葉でふかふかです。1999年第3次植樹訪中団が何もない砂漠地に建立した「東京税理士会の森」の碑が、ポプラの樹々に囲まれて静かに立っていました。ブッシュを刈り取り、サラサラの砂地にシャベルが潜るほど深い穴を掘り、うさぎに齧られないようにと根元に金網を巻いて植樹した、あの小さな細いポプラの苗木が見事に成長して「東京税理士会の森」となっていたのです。嘗て砂漠地だったとは信じられないほどのポプラの森です。「東京税理士会の森」の碑の先にもトウモロコシ畑が続いていました。ポプラの樹が成長したことで風が和らげられて砂が移動することを防ぎ、作物を栽培することが可能になったのだそうです。まさに「継続は力なり」です。
 みんなで協力して植樹し、植樹後はトルーマさんとザイさんに委託して管理してきたポプラが、私たちの息長い植樹活動とその願いに応えて見事に成長していました。この度の視察旅行の一番の目的を達成することができました。
 これから、この「東京税理士会の森」の維持管理をどうするべきか、今後の内モンゴルでの植樹活動はどうすべきか、トルーマさんの高齢化の問題もあります。ポプラが立派に成長してくれていただけに複雑な思いで、現地を後にしました。

 

(視察2日目)

油脂松が逞しく成長したオルドス台地

視察団
10年間で大きな変貌を遂げたオルドス台地。
赤土ばかりの荒れた土地(写真上▲)に、樹々が根付いた(写真下▼)

視察団 オルドス市東勝の郊外オルドス台地に行きました。
 高速道路の端でバスを降りて小高い山の斜面を登ると周り一面はなだらかに起伏した台地で、赤土がむき出しで計画的に植樹したと思われる油脂松の樹がまだら模様に整然と立ち並んでいます。確かにこの辺が私たちの植樹地のはずなのですが、2001年第5次植樹団からが植樹した場所がなかなか特定できません。
 見渡す限り続く赤土の傾斜した台地はでこぼこで、道の端は落ち込んだ崖で下を見ると足がすくむような深い谷です。細い道を尾根伝いに植樹地を捜して歩いていくと、下り斜面に並んだ松の木の間に白い一基の石碑らしきものが見えてきました。縦横1メートルほどの白い石造りの碑です。その表面を見ると、「第五次東京税理士会植樹訪中団」。ありました!記念碑がありました!裏側に廻ると、団長以下18名の名前がしっかりと刻まれています。その石碑の周りは間違いなく14年前に私たちが植樹した油脂松なのです。背丈より高く2メートルほどに成長し、幹も太くしっかりして、松ぼっくりの実をたくさんつけています。周りを見渡すと、斜面は急成長した油脂松がびっしりで、その斜面が幾層にも連なっています。斜面の先は崖で落ち込んでいますが、その向こうに油脂松に覆われた新たな斜面が続いています。14年前には荒れた赤土だけだった場所がすっかり様変わりしていました。
 第5次の記念碑を頼りに、オルドス台地に植樹した油脂松が逞しく成長した姿をこの目で確認することができました。ただ、植樹の都度建立したはずの第6次植樹団以降の石碑は地形が変化したことや成長した油脂松に阻まれて直接確認することができませんでした。