特定非営利活動法人モア・グリーン・ゴビ税理士の森基金 設立趣旨書

 国連が1992年に世界各国や産業団体、市民団体等を招集して開催した「地球サミット会議」において、森林保全等に関する原則声明のほか、「気候変動枠組条約及び生物多様化条約」を決定。これに基づき翌年、我が国の環境政策の基本的方向を示す新たな「環境基本法」が成立し、国、地方公共団体、事業者、国民等の社会を構成するすべての主体の参加による取り組みが環境行政に不可欠となった。さらに、1997年の温室効果ガス排出量の削減を約束した京都議定書を受け、翌年、政府の地球温暖化対策本部は、2010年に向けて緊急に推進すべき大綱に省エネルギーの促進、森林整備や途上国への取り組み強化等を掲げ、周知を図ってきた。

 ところで、我が国の場合、行政が主体となる環境問題とは別に、最近、自主的な環境保全活動に関心を抱く人々が欧米に劣らず高まりを見せているが、その多くは国内の問題に止まっているのが実状である。

 この解決のためには、環境保全問題の重要性を理解するも、地球規模の環境保全活動に参画できる具体的な実践方法を知らない人々が多いことから、これを周知することが重要であることの認識に立ち、東京税理士会が1994年から始めた「モア・グリーン・ゴビ運動」を広く国民にPRし、多くの賛同者とともに積極的に推進すべきであると考えた。

 つまり、中国内蒙古自治区において(財)日本産業開発青年協会と提携し、植樹活動を行うこの事業は、当初、使用済みテレホンカードの収集による換金により、ポプラの苗木購入等に充てることとしたもので、税理士の行う社会貢献活動の一環として位置付けられたものであった。しかし、その後テレホンカードの換金が難しくなり、また、強制加入団体である税理士会の目的として事業を継続することの困難性と併せ、この事業の社会公共性の極めて高いことを考慮し、発展的に、2000年に約100名の賛同者を得て「モア・グリーン・ゴビ税理士の森基金」を設立して、一般市民の参加を求めながらこの運動 を継続することとしたものである。

 この間の実績は、本年まで6回に亘り植樹訪中団を派遣し、地元の学生及び青年団体等の協力のもとに活動を行っているものであり、クブチ沙漠ダラトキに借り受けている「税理士の森」においては活着率が厳しい環境にあっても約3,200本のポプラが生育し、2001年から始めたオルドス台地においては約4,300本の松の苗木も植樹している。

 近年、日本にも影響が顕著となってきた黄砂の発生要因となっている、中国の砂漠化の防止にも役立とうとするこの運動は、地球規模の環境保全に関心を持つ人々にとって馴染みやすいことから、より一層多角的見地からの環境保全意識の啓蒙に繋がると思われ、また、この実際の植樹活動によって、ゴビ沙漠地域住民の環境意識の向上並びに現地行政府の認識も高まり、環境保全施策の拡充強化に好影響を与え、最近では「植樹団記念碑」の建立もされるなど、極めて公益性が顕著となったものと考える。

 本来、環境保全活動は、広く永く取り組まなければ意義のないものである。本基金は、税理士を主たる構成員とする任意団体として活動してきたが、今後は、従来以上に税理士の関与先など幅広く一般市民の賛同者を募りながら末永く取り組むために、より健全な、公共性、透明性の高い組織運営を内外に示していくことを標榜し、特定非営利活動法人として、地球環境保全に寄与していくことを決意し、設立の趣旨とする。


平成14年12月5日

設立代表者 波多野 重雄