ゴビ砂漠に改めて一歩

岡田光一郎

 1996年9月に初めて中華人民共和国内モンゴル自治区に東京税理士会の植樹団を派遣して以来今年で13回目となる。過去12回はダラトキ・トンション地域に累計14万4170本の植樹をしてきた。自分たちが植樹してきたポプラの木が10年経つとこんなにも成長し、狸が棲み兎が跳ねるのを見て感動したと聞く。しかし、この度我々第13次植樹訪中団が訪問した地は、今年度から新たに植樹を始める奈曼旗(ナイマンキ)という、北京から北北東に約700q、夜行列車で8時間半程の内モンゴル自治区で、正式な地名は通遼市・奈曼旗・大秘他拉鎮・昴乃村(ツウリョウシ・ナイマンキ・ターチーハラチン・ダンナイスン)というところである。
 今回は9月16日〜21日の日程で、税理士会員16名(男性7、女性9)・家族友人5名、コーディネーター1名の総勢22名で植樹団を結成した。初めての地であるということで「NPO法人モア・グリーン・ゴビ税理士の森基金(通称:MGG)」理事長 波多野重雄氏と奈曼旗々長との間で調印式が執り行われた。今後30年間にわたり、幅1q・奥行3q・面積約300haの大地を緑化するという壮大な計画内容である。
  この式典は、奈曼旗により既に建立されていた「第13次植樹訪中団来中記念」碑前に於いて、奈曼旗青年連合会々長はじめ青年団員・地元高等中学生約80名の方々と我々を含め約100名が参加するなか挙行された。この様子は、地元テレビ局が取材に来るほど地元の関心の高さに感銘した。
 式典後いよいよ記念植樹である。大きなエンジン音がするので何かと思えば、地元の方々が今回の植樹活動の為に事前に約30mの穴を掘り、井戸水を汲む音であった。記念植樹には季節的にポプラは適していないということで、主として松及び砂棘(さじ)という苗木が約1,000本用意されおり、波多野理事長と地元族長夫人の植樹でスタートした。団員と地元の方々との協同作業で植樹した苗木が10年経ったらどのくらい立派に生育するのだろうか、兎は跳ねるのであろうかと、想像するに楽しい感激の一日であった。これから30年の永きに渡り奈曼旗の地で活動する初めの一歩を刻んできた感動は、第1次植樹団に近いものがあるのではないかと思う。
 ゴビ砂漠の緑化活動は日本国の援助を始め、MGGだけではなく、他にも約80の団体が活動していると聞く。人一人・MGGでは何もできないかもしれないが、この活動が地球環境保全に大きくつながると確信する。東京税理士会々員だけではなく、より多くのメンバーがMGGに参画し「継続は力なり」の精神でこの活動が継続出来たら、少しでも黄砂の飛来を食い止めることが出来るのではないかと願いつつ、22名の団員全員がそれぞれに良い思い出を心に刻み無事帰国した。