今後30年間の活動への一歩

平野 信吾

 遊牧から牧畜や農耕へと、さらには人口増加等の様々な環境変化によって、ここ40〜50年の間に内モンゴルでは、かつての豊かな草原が砂漠化していきました。それが黄砂の一原因となっているのです。植樹によって砂漠化をくい止めようと日本から多くの植樹団が訪中しています。これに刺激を受けた中国政府は今では国家プロジェクトとして植樹に力を入れています。モア・グリーン・ゴビ税理士の森基金は、9月16日から6日間の日程で総勢22名の第13次植樹団を派遣しました。
 今回の植樹先は新たな地、内モンゴル自治区通遼市(ツウリョウシ)奈曼旗(ナイマンキ)です。ナイマン旗は北京から北北東へ約700q、夜行列車で12時間の距離にあります。旗は行政区の一種ですが、ナイマン旗の面積は東京と埼玉を合わせた位あります。オルドス市のダラト旗やトンション区での植樹が一段落したので、今回からホルチン砂漠と言われるこの地に、今後30年間の植樹活動を行うべく第一歩を標したのです。
 実際の植樹場所は、ナイマン旗の昴乃村(ダンナイスン)という村です。村長はじめ、受け入れ先のナイマン旗青年連合会の幹部が大歓迎してくれました。最初に記念植樹として数十本の松を植え、次に「砂棘(サジ)」という豆科の植物を約300本植えました。成長すると2m位になるこの植物を根付かせ、とりあえず表土流出を防ぎ、その後にポプラを植えるのだそうです。
 植樹には地元の中学生(日本の高校生に相当)70数名が手伝ってくれました。先頭に「奈曼一中」と書かれた紅い旗を掲げて行進して来る様は、体育祭にでも参加するかのようです。砂地なので穴は掘りやすく作業は比較的容易で、学生はポンプで汲み上げた地下水をバケツで運んでくれたりと大活躍です。
 記念撮影の後、学生達は整列し、私達の拍手に送られ、再び行進して帰っていきました。