砂漠に緑を増やすということ

岡田麻由美

 今回中国内モンゴル地区への植樹に初めて参加しました。参加すると返事をしたものの、私の中で『砂漠で植樹をする』ということを具体的に頭の中でイメージできないまま、中国に到着しました。
  瀋陽の空港から奈曼旗まで車で5時間。
  バスに揺られながら見る景色にほとんど変化がないことが私には印象的で、果てしなく広がる平地に中国の大きさを実感しました。
  実際の植樹活動は数時間でしたが、1本の樹を植えることは思った以上に労力が必要で、普段運動不足の私にはたった数時間でへとへとになるものでした。穴を掘り、樹を植え、水をかける。ただそれだけの作業ですが、サラサラと崩れる砂を掘ること、1ヶ所の給水所からバケツで樹を植えた場所へただひたすらに水を運ぶこと、あっという間に吸い込まれる砂地に水をかけること、それらの過程に触れながら、1本の樹を植えることの大変さを知りました。
  それでも、私が関わったのは『樹を植える』という通過点にしか過ぎません。普段日本にいる私にとって、数日間という時間があれば樹を植えることはできます。けれど、植えられた樹をどう育てるか、植えられてから育つまでの何十年という時間こそ砂漠に緑を増やすために大切な時間なのではないかと実感しました。
  植樹を終えた帰路、再度果てしないバスに揺られながら、ポプラの樹・ひまわり畑ととうもろこし畑。そしてそれらが植えられている地がずっと砂漠であったことに気づいた時に初めてゴビ沙漠というものを知ったような気がします。そしてポプラの樹は、かつて植樹されたものではないかと思われるほど整然と規則正しく植えられていました。その延々と続くゴビ沙漠の大きさにただ呆然としつつ、ポプラの樹を植えて育ててきた方々の努力に畏敬の念を抱かずにはいられませんでした。
  今回の活動で、私が植えた樹の何本がこの後に育つかは分かりません。そして育つかもしれない数本の樹がどれだけ砂漠に緑を増やす貢献につながるのかも分かりません。けれど、今までは現実的にイメージのできなかった『ゴビ沙漠が広がっている』という事実に対して自分自身の中に意識が生まれたことこそが、今回の植樹活動に参加した成果だったのだと思います。