第十一次モンゴル自治区植樹団

波多野重雄

 今年は八月に北京オリンピックが開催されるので、夏季休暇の家族を伴う植樹計画を断念した。更に、その前後の混乱も予想して、十月と決めたため応募者が少なく、NPO法人、モア・グリーン・ゴビ税理士の森基金副理事長の平山玲夫妻と同、倉又副理事長支部の菊池修会員と一般市民の大久保久美子さん、それに加え、日本産業開発青年協会の太田誠一常務理事に交通会社の村部修氏という、わが植樹団派遣計画始まって以来の七名の小規模編成となった。


○第一次から第十次迄の植樹状況
  先ず、初日の植樹場所は例年どおり、達拉特旗(ダラトキ)の卓日瑪(トルーマ)氏宅を訪問し、管理のお礼の挨拶をした。卓日瑪さん夫婦は裏の畑を三O畝(@六六七u)耕作し、羊、山羊等を飼育している。そして、我々の森の管理人をお願いしている。植樹直後の散水は高活着率に貢献している。また、我々の植樹の影響で砂漠化の侵食がストップし耕地面積が年々拡張しているともいう。我々が第一次植樹団の記念碑に向かう途中、兎が出迎えるやたちまち姿を消した。数次の植林した楊樹(ポプラ)林は大きく成長し、そよ風に葉が靡(なび)くたび心地よく頬にふれ沙漠の灼熱から救ってくれる。狸の棲家は入り口に枯木でカモフラージュしたのを二箇所ほど見つけた。昼食に卓日瑪さん宅に帰る途中、わが税理士の森の中に噴出した「水池(イケ)」が溢れ葦が繁茂し、青蛙(チンワ)が飛び跳ねていた。このオアシスが楊樹(ポプラ)の苗木を浸す格好な冷床となっている。道すがらここに魚を放したらいいだろう、泥鰌がいいのではないか、小鳥も来るしなどと話しに花が咲いた。卓日瑪さん宅の美味しいモンゴル料理をご馳走になった。午後は昨年から植樹した場所に、地元のボランティアの男女一五名の応援を得た。前日の雨のためか砂漠が締まっていて堀易かった。力強い助っ人の協力ではかどった。雨模様なので予定の二五〇本の楊樹(ポプラ)を植えたところで切り上げた。


○オルドス台地の植林
  オルドス地方は黄河屈曲部で西、北、東を黄河に南を万里の長城に囲まれている。海抜一五〇〇米程の高原で降水量は年平均二〇〇oから五〇〇o、雨が多いと洪水や激しい土壌流出が起きる。山には古代、海底が隆起した遺石の赤茶けた石が露出している。地元第三中学校の日本語の先生宮腰先生率いる一五名の生徒(男女)と村長率いる二〇名で長方形に掘ってある穴に更にシャベルで掘削し松を二五〇〇本程植えた。
 私は六年前に植えた記念碑の側の松を見ると文字通り青松となり松毬の大小を誇らしげにつけていた。私は当時植林の友人に松ぼっくりを土産とした。
  近年中国も環境問題を重視し、内蒙古自治区の住民は、今年、十八歳から六十歳迄は植林義務を年間十本負うことになった。苗木は政府が、暇のない人はお金を支払う。「退耕還林」「退牧還草」、放牧禁止は草原の一ヘクタール羊九〇頭政策をし砂漠化防止政策を樹立した。
  少ない人数ながら「継続は力なり」を実践した。一滴の雨垂れで岩を穿つ力になることを念じつ、会員を始め皆様の今後のご協力をお願いし、併せ、植樹にご熱心な太田常務に感謝申し上げ、報告とする。