驚き、そして感動の旅

 加藤 英二

 今回の第12次植樹訪中(ゴビ沙漠)は、新型インフルエンザと中国の75年ぶりの猛暑と少々不安もあったが、総勢17名、無事予定どおり2カ所の植樹を終え全員元気に帰国した。
  訪問した都市は、北京、パオトウ、ダラトキ、トンション、フフホト、そして上海、蘇州であるが、北京では波多野公使がわざわざ歓迎のご挨拶に見えられ、また、トンションではオルドス市の玉暁東書記ほか地元青年組織の方々による温かい歓迎パーティーに招かれ、我々のモア・グリーン・ゴビ活動に対し心からの謝辞をいただき感激した。
  10年前の第3次以来、4度目の参加であるが、第11次までの植樹地ダラトキとトンションを見学した。それぞれ立派に活着し、葉の緑も鮮やかで嬉しかった。特に第3次の我々から植樹を開始してダラトキの「東京税理士会の森」は、こんな所でポプラが活着するのかと思うほど、砂、砂、砂の荒れ地でした。あれから10年、たゆまぬ努力を重ねた結果、「ここが沙漠だったの?」と質問が出たほどポプラが大きな林となり、トンボがスイスイと飛んでいた。植樹の管理人をお願いしている牧民のトルーマさん宅の周りも青々としたトウモロコシ畑に変わり、住居には新しい電気洗濯機が備えられていた。
  中国は、多くの死者を出した11年前の水害で森の大切さを学び、耕作地を林に戻す「退耕還林」運動を始め、昨年から国民に年10本の植樹を義務化した結果であろうか、現地人による植林も多く見受けられ、かつて水枯れのあの黄河の雄大な流れにも接することができ感無量であった。
  また、消費刺激策として特に農村向けに自動車や家電製品の購入者に補助金を出す「汽車下郷」「家電下郷」政策の実施で、内蒙古自治区にも都市化の波が押し寄せているのがよく解った。
  「やれることはすぐにやる」中国の積極さ、また、現地中学生達の将来の希望「日本の技術を学び世界の飢餓や病人を救いたい」「外交官になり戦争のない世界にしたい」等々、希望に燃えて輝く瞳に接し、ここ10年間の中国の見事な変貌ぶりに驚き、また、そのたくましさに感動した今回の旅でした。